「送料って無料じゃないの!?」2024年問題はあなたの身近な問題です!

  • 今回のインタビューでは、カワキタエクスプレスの川北社長が、運送業界の「2024年問題」について熱く語ってくれました。社長は、ドライバーの労働時間を短くしつつ、適正な給与を支払うことの重要性を強調しています。また、ドライバーが自分の仕事に誇りを持てるような環境づくりが必要だと考えています。さらに、運賃の適正化や時間管理の徹底を通じて、業界全体の健全化を目指すべきだと述べています。川北社長の情熱的な言葉から、運送業界の未来に対する明るい希望と改革への強い意志が感じられました。

2024年問題への想い

川北:皆さんこんにちは、株式会社カワキタエクスプレスの川北です。前回に引き続き、2024年問題についてお話したいと思います。よろしくお願いします。

インタビュアー:よろしくお願いします。前回、2024年問題の内容と原因についてお話いただきましたが、今回の動画では川北社長が考える改善策もお伺いさせていただければと思います。

川北:実はこの2024年問題について動画を撮ろうかと思ったのは、暗い話が多いからなんです。

川北:ドライバーさんも残業が減って労働時間が短くなることで給料が減るという話がありましたが、そうではなくて、労働時間が短くても普通の会社と同じように給料をもらえて、ボーナスも支給されるような世の中にすれば良いと思います。それには、運送会社の経営者たちがもう少し自分たちの仕事に誇りを持ち、価値を上げることが必要だと思います。

社会問題を変えるための解決策は!?

川北:例えば、ラーメン屋の話をよく例に出すんです。800円だったラーメンを、バイトが集まらないからと1000円に値上げしたらどうですか?その値上げを納得させるためには、味が美味しくなるとか、サービスが良くなるとか、何かしらの価値の向上が必要です。運送会社も同じで、単に困っているから助けてくださいではなく、ドライバーが挨拶やコミュニケーションをしっかり取れる、提案できるような人材を育てることが大切です。また、待機時間をドライバーに押し付けるのではなく、お客様に対して待機時間があるならその分を請求する、もしくは待機時間を無くしてくださいと働きかける必要があります。

インタビュアー:確かに、そういった姿勢が大切ですよね。

川北:そうです。経営者がまず変わることが重要で、プロとしての仕事をしっかり行う会社は生き残るはずです。ドライバーを犠牲にしない業界にしていくべきです。

知られざる送料の裏話とは…

川北:最近話題に上がる「送料無料」についてですが、あれは実際には無料ではありません。ショップ側が送料を負担しているだけで、人が動くコストが無料であるはずがありません。

川北:これを「送料無料」と表現するのではなく、「ショップが負担しています」と伝えるべきだと思います。例えば、ソファーを運ぶとき、自分でトラックを借りて運んだらどれだけのコストがかかるのかを考えると、運送会社に依頼する方が効率的です。この理解を広めることが重要だと思います。

川北:配送料がかかると、損をしたように感じる方も多いですよね。例えば、商品の価格が1万円で送料が5000円だと「高いな」と思うかもしれません。でも、このソファーを自分で運ぶとしたら、トラックを借りたり自分の労力を使ったりして、どれだけのコストがかかるのか考えてみてください。実際には、我々が代わりに運ぶ方が圧倒的に効率的です。例えば、自分で運んだら10万円かかるところを、私たちが運べば1万円で済むような効率化を実現しています。

川北:そして、そういった価値を理解してくれるお客様は、適正な運賃を支払ってくれます。これは少し語弊があるかもしれませんが、もしも「もっと安くしてほしい」と求め続けるお客様がいたら、その会社は持続できないでしょう。どんなに良い商品を作っても、それを運ぶ手段がなければ、その商品には価値がありません。我々運送会社は、そういった立場からも強気で交渉するべきです。その代わり、プロとしてきちんとした仕事をすることが前提です。運賃を求める際には、プロとしての仕事を保証し、それでも受け入れられない場合はそのお客様とは取引しないという選択肢も必要です。物流が止まることはありません。

残業への向き合い方

インタビュアー:残業時間をいかに削減するかが課題となっていますが、カワキタエクスプレスさんではこれまでどのような対策をされてきたのでしょうか?

川北:この業界では時間管理が不十分で、例えば4時間待機しても、会社がその時間に対して何も支払わないというケースがあります。また、運賃が2万円であれば、10時間かかっても20時間かかっても支払う額は変わらない、という仕組みが普通です。だからこそ、時間管理がまず重要なんです。何時間働き、何時に出発して、どこで何時間休憩を取ったか、労働時間が何時間だったのかをしっかり記録することが大事です。

川北:うちではそれを15年前から始めました。きっかけは、高校新卒者を採用したいと思ったことです。高校生が見る求人票は、フォーマットが統一されていて、条件が明確に記されています。歩合給といったものは高校生には分かりにくいので、基本給や残業代、賞与の有無、年間休日などを明確に提示できる会社であることが重要でした。

川北:その取り組みの結果、20代で未経験の若者でも、トラックで長距離を走ることを楽しみながら働きたいという意欲を持った人たちが一定数入ってきました。彼らは「長距離が好きで、トラックで1週間過ごすのも構わない。でも、その分しっかり稼ぎたい」という思いを持っているんです。こうした若者たちにも対応するため、時間管理を徹底し、時間に見合った対価を支払う仕組みを整えることが大切です。そうした取り組みが、業界全体の改善に繋がると考えています。

トラックドライバーの給与体系について

川北:やはり、時間管理をしっかり行い、労働時間に対して適切な対価を支払う仕組みを作ることが必要です。そして、会社が利益を得たら、その利益をきちんと社員にも還元する体制にしていくことが、業界全体の改善に繋がります。このような意識が根付けば、当然ながら会社側も社員に対してきちんと支払わなければならないので、その分をお客様にも負担してもらうようになるんです。

川北:現状では、すべての会社がその体制を整えているわけではなく、残業代をしっかり支払わない会社も少なくありません。しかし、2024年4月以降は、法律により残業代の支払いが厳格に求められるようになります。現時点でも本来は残業代を支払わなければならないのですが、それを守れていない会社が多いのが実情です。まずは残業代をきちんと支払い、そのための時間管理を行い、結果的に労働時間を短くしていくことが大切です。

川北:これは、すぐに成果が出る解決策というわけではありませんが、こうした取り組みを続けていけば、徐々にドライバーの待遇も改善され、ドライバーに対する社会の価値観も変わり、給与や働き方も変わっていくと思います。それが、長期的に見た時の解決策だと考えています。すごく明るい未来を描きやすい、そんな取り組みだと思います。

最後に

川北:こうした少ないながらも、トラックドライバーという仕事を夢と希望のある職業にしようという動きが広がりつつあります。この2024年問題をきっかけに、そうした変化がさらに進むと思います。私はすごく希望を感じています。

川北:2回にわたって2024年問題について質問してもらいましたが、よくわからない状況から変わりましたか?

インタビュアー:川北社長のお話を聞いて、印象が大きく変わりました。最初は他人事のように感じていましたが、実は私たちの生活に深く関わる問題なんだと気づきました。暗いイメージだった2024年問題が、むしろ明るい未来に向けた希望に満ちたものに見えてきました。

川北:そう感じてもらえるととても嬉しいです。運送業界はどうしてもネガティブなイメージが多いですが、実際には社会にとって必要不可欠な仕事です。ぜひ、正しい理解を持って応援していただけるとありがたいです。今後も情報発信を続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。

インタビュアー:これからもよろしくお願いします。本日もありがとうございました!

川北:ありがとうございました。またね!